アニカレ広場
Home > > > 声優 福山潤さんTALK LIVE!!

声優 福山潤さんTALK LIVE!!

2023/07/11

 

2023年5月20日(土)オープンキャンパスゲストデーを開催しました。ゲストとして「吸血鬼すぐ死ぬ2」ドラルク 役や「コードギアス 反逆のルルーシュ」ルルーシュ・ランペルージ 役などでご活躍中の声優 福山潤さんをお招きしてのスペシャルトークライブを行い、声優やマンガ・イラスト・アニメーション業界を目指す中学生・高校生に向けて貴重なメッセージをいただきました。

その一部を掲載します。

 


 

 

MC:本日の午前中には在校生向け特別授業も実施し、その中で福山さんから直接アフレコ指導をしていただきました。在校生一人一人にしっかりとアドバイスしていただきありがとうございました。在校生の様子はいかがでしたか?

 

福山さん: アフレコはやろうと思えば自分一人でもできます。既存のアニメであれば台本は聞いてコピーできますし、アニメーションの音を消してそこに声を合わせればアフレコの練習くらいにはなります。しかし実際のアフレコ現場ではモニタールームからたくさんの人にチェックされて、ブースは違っても大勢の人前で演じているのと変わらない状態でやっています。アフレコ指導は自分一人で練習するのではなく、皆と一緒に緊張しながら学ぶのはとても貴重な経験だと思います。これまでもアフレコ指導を何度かさせていただきましたが、学生の皆さんが思っているアフレコの「演技」とプロが実際に仕事で行うアフレコの「演技」というものにも大きな違いがある時もあります。そのような情報や感覚の違いを確認し合って端的ではありますが伝えられたのはとても良かったですね。学生の皆さん緊張はされていましたが、しっかりと声が出てましたからね!すごいです!

 

 

MC:本日は中学生、高校生のみなさんにお集まりいただいてますが、福山さんはどのような学生さんだったんでしょうか?

 

福山さん:得意科目が美術と体育で、5教科はごくごく平均みたいな分かりやすい「副教科タイプ」でしたね。平日は放課後に友達と遊んだり、部活動やアルバイトに行くなど、普通の学校生活を楽しく送っていました。土日は養成所に通って声優の勉強をしたり、色々なお芝居や本を読んだり、自分の将来の夢や目標のために時間を使っていたので、ほぼ休みはなく毎日ヘトヘトになってました(笑)。中学校の時はそんな過密なスケジュールではなかったのですが、高校に入って1年でめっちゃ痩せましたね(笑)。毎朝新聞配達のアルバイトで、放課後は柔道部。クタクタになって帰ってきても、朝3時には起きてまた2時間の新聞配達。終わったら1時間仮眠をとってまた学校…。そんな毎日でした。おかげで体力はつきました。
声優の仕事ってほとんど動かないように見えるのですが、マイクが音を拾う範囲は限られていて、その限られた稼働範囲の中で声を出し演技しなくてはいけません。そうすると目に見える動的な筋肉ではなく、横隔膜を上げ下げする腸腰筋などいわゆるインナーマッスルをとても使います。あと作品への集中力もとても必要です。特にアニメーションだと、「マイクワーク」といって数本のマイクに皆が入れ代わり立ち代り交代でレコーディングすることがあります。その時は台本を見て、アニメーションの動きを見て、喋り、さらに周りの人の動きも見る…といった感じで4つの事を同時に行わなくてはいけません。文字と違う事を言ってないか、自分のセリフとアニメのタイミングが合っているかなど、色々な事を気にしながらやらないといけないので、動いてないけどめちゃくちゃ体も頭も使いますね。僕は叫ぶ仕事が多かったので、20代半ばくらいの時にずっと叫ぶ仕事をしていたら首が4㎝太くなり、シャツのボタンが止まらなくなっていました(笑)。今は体が慣れて、響くポイントが分かってきて、そこまで喉を使わなくても出せるようになってきましたが…。
皆さんも普段、人と会話する中で、時には驚いて大きい声が出てしまったり、大笑いしたりする事ってあると思います。しかし演技はそうした一過性のものとは違い、自らの意志で継続的に声を出さなくてはいけないので、思った以上に体は使います。なので僕は趣味もかねてこの半年くらい筋力トレーニングを行ってます。下半身や体幹といわれる体を支える筋肉がついてきたら、瞬発的に大きな声を出しても体のバランスも崩れにくくなります。そうすると声もより安定して芯のあるものになるはずなので、今の自分が出せないような圧力の声もそのうち出せるようになりたいなと思ってます。
また喉の筋肉を鍛えるというより、そもそも喉にはあまり力を入れない方が良いんです。叫んだり大きい声を出そうとすると、どうしても喉に力が入ります。でも人間の喉って複雑な発音をしなくてはいけないので、耐久力は犬などの動物と比べてかなり弱いです。喉には声帯という弁のような器官があり、そこが震えて声が出るのですが、喉を閉めて叫ぶとそこが強く擦れてしまいます。テニスやバドミントンや野球などを経験された人なら分かると思いますが、素振りをしたらタコができるじゃないですか、そのようなことが声帯にも起こるんです。そうすると声がガサガサになってしまったり、声帯ポリープなどができて手術をしないといけなくなったりするんですね。なので僕らは普段なるべく喋る時は喉で喋らず腹式呼吸を使って体全体に声を響かせるように話すことを心がけています。発声の効率を上げ体の強度を上げていくことが声を使うお仕事をするには必要になるかなと思います。

 

 

MC:福山さんが声優の現場で人との接し方で気を付けている事はありますか?

 

福山さん:ベテランの方と話をしていると、失礼を働いてしまわないかとか、こんな事を聞いて良いのかとか、色々考えてしまいます。個人的な事であれば、話をしたくなったら話そうとか、どうしても聞きたかったら聞こうとしていますが、仕事ではそうはいかない場面がありまして…。アフレコ現場では表現の注文を端的な言葉で要求されることがあります。「ここはもっと怒ってください。」とかそんな感じです。だけど怒るにも色々あり、ただただ怒るのか、そうじゃないのか、その繊細な表現が“怒ってください”だけでは分からない時があります。そういった分からない事に直面した時には、何が分からないのか、自分はどう感じているのかを、その場で過不足なく伝えないといけません。その為には、変にかしこまり過ぎても良くないし、こうなんですか?どうなんですか?と前のめりに聞き過ぎてもダメで…。そこは冷静に、「これってどうしましょう?僕はこれこれこういった感じに表現しようと思っているのですが、そちらの要望と違ったら言ってください」という感じで伝え不足にならず、それでいて意見のぶつかり合いにならないようなやり取りを心がけています。

 

 

MC:演技力を高めるコツなどがあれば教えていただけますか?

 

福山さん:それは僕も知りたいですね!(笑)
でも僕の中のコツは、“手っ取り早い方程式を求めないこと”です。よく聞かれます、「どうやれば上手く出来ますか?」って。でも手当たり次第経験する事しかありません。例えば「ありがとう」ってセリフがあって、言ってみたら読んでるだけに聞こえると言われてしまった…。それを解決するためには結局色々な「ありがとう」を自分で何回も言って試すしかないんです。もちろんその練習回数も大切ではあるのですが、自分が人に「ありがとう」を言った事があるのかないか。これが大きく影響してくるんです。もしあるなら、それはどういう場面だったか、どういう気持ちで、どういう表情で、どういう声色で「ありがとう」を言えたか。そういった自分の実体験の中で放った言葉を多く持てているかはとても重要だと思います。もちろん専門的な知識を見聞きして身に付けるのも大事ですけどね。でもそれだけでは何も生まれなくて、僕ら演技をする仕事をする人たちは実体験や実感というモノがなくてはいけないんです。
皆さんにも、これからたくさんの人とコミュニケーションを取り、様々な経験をしていただきたいです。楽しく友達と会話をした時、親に叱られた時、一つ一つの場面で感じた事や思った事、相手のことなども覚えていたらいいと思います。そのような経験全てがいつか自分が声優としての演技をするときのヒントになるはずです。

 

 

MC:最後に会場にいる皆さんにメッセージをお願いします。

 

福山さん:大きな時間でみると学生時代というのは特殊な時間です。多くのことが学べ、守ってくれる人たちもいる、その限られた時間の中で夢を叶えるために何が必要か探しながら精一杯頑張っていただけたら幸いです。その先にもしかしたら私と一緒に仕事をしていただける方が出てくるかもしれませんし、それぞれの中で新たなものを見つける方や、新しい仲間と出会う方もいるかもしれません。せっかくこのような素敵な環境のある学校でみなさまと同じ時間を共有できました。またみなさんと共有できるように願っておりますので夢に向かって精一杯頑張ってください。本日はどうもありがとうございました。

 

 

福山潤さん本当にありがとうございました!

 

 


アニカレのことを
もっと詳しく知ろう!

オープンキャンパス 資料請求