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声優 林勇さん TALK LIVE!!(アニカレ祭2022)

2022/09/30

2022年7月24日(日)に開催された『アニカレ祭2022』にて「東京リベンジャーズ」佐野万次郎役や「ハイキュー!!」田中龍之介役など、数多くの作品にご出演中の声優 林勇さんをお招きしトークライブを開催しました!

 

 

林さんからは、会場に集まった多くの声優やエンタテインメント業界のプロを目指す在校生・高校生に対して、たくさんのエールやメッセージをいただきました。その一部を掲載します。

 


 

林さんには大阪アニカレに初めてご来校いただきました。設備やこのステージの前の学生ステージもご覧いただいたとのことで、学校・在校生の印象はいかがでしょうか。

 

林勇さん:学生たちはキラキラしていますよね。アクションをやっていたりする姿もそうですし、マンガにあわせて声を当てるモーションコミックだったりも見させてもらって上手だなって思いましたし。自分も専門学校出身なので、ひたむきに頑張っている姿を見ると昔を思い出します。

なによりも学校の設備が豪華すぎて。このステージもめちゃめちゃ大きいじゃないですか。アフレコの練習ブースなども豪華ですけど、ギターも作れる教室があるんですよね。そこもちょっとびっくりして。そんなものもあるんだって衝撃を受けましたね。パーッと見ただけでも豪華さというのは伝わってきました。

 

 

学生たちはこういった設備の中で学んで、各分野のプロを目指しています。林さんの目線からこういった専門学校で学ぶことの意義はどのように感じられておりますでしょうか。

 

林勇さん:専門学校には同じ目標の人が集まってくるので、モチベーションが上がりますよね。自分一人でやっているとどうにも気持ちが盛り上がらないところが、毎日同じ目標に向かっている仲間が隣にいるだけで、本当にやる気がみなぎってくるし、刺激をもらってその相乗効果で目標に向かって頑張れるというところもあるでしょうから。僕も専門学校で学ばせてもらっていましたけれども、そういった部分で仲間がいることの重要性みたいなのはすごく感じていますね。

 

 

林さんが声優として活動をされていく経緯についてお伺いしたいと思います。もともと子役をされていたとのことで、ご自身の中で演技に対してのモチベーションというのは幼いころから高かったのでしょうか。

 

林勇さん:もとからモチベーションがすごく高かったわけではありませんでした。5歳の頃に『劇団ひまわり』に入り、最初はエキストラなどで顔出しの仕事をしていて、初めて声のお仕事をやったのが小学2年生の時、ディズニー映画の『バンビ』という作品で。幼少時代のバンビの声を演じたのが僕の声優キャリアのスタートです。そこからディズニー映画だと『リトルマーメイド』のフランダーや『クマのプーさん』のクリストファー・ロビン、ちょっと先だと『ピーター・パン』のピーター・パンなどディズニー作品に縁がありました。

でも中学の頃に『スラムダンク』にハマって、その影響でバスケットボールがとてもやりたくなってしまったんです。中学1年生の途中あたりで、実は劇団ひまわりを辞めているんですね。中学校3年間はバスケットボールを自分の中でやり尽くして、高校生になって再度自分の中で何をしたいかということを考え直した時に「小さい頃にやっていた声の仕事って、とても魅力があったな」と再確認したので、その時は自分の意志で劇団ひまわりに入り直したっていう経緯があります。

 

 

小学2年生のときの初現場のことは覚えていらっしゃいますか?

 

林勇さん:多少覚えていて、ぼんやりと。でもその時は台本の読み方も全くわからなかったですし、映像に向かって何となくこういう感じで喋っているんだろうな、みたいな感覚的なものでやっていましたね。声変わりする前の作品は時々見ますけど「本当に自分なのかな」と思っちゃいますね。

 

 

当時は逆に緊張もあまりなかったのでしょうか。

 

林勇さん:そうですね。全然緊張感はなかったです。今同じ仕事をするってなったらその方が緊張すると思います。大人になると考えることも増えるじゃないですか。それもいい成長だと思いますけどね。

 

 

本校の声優学科2年生は『校内オーディション』というものを控えています。今後の進路を決めるためのオーディションで、このホールに何十社もの事務所・プロダクションさんにお越しいただきます。非常に緊張するものではあるんですが、林さんは緊張をほぐすためのルーティンなどはありますか?

 

林勇さん:鏡に映った自分に「できる、できる、できる」って3回言うみたいな。ちょっとそういう昭和っぽい感じ、古風な感じのことはやっていますね。僕も緊張しいですし、今でこそ皆さんの前で話をさせていただいていますけど、もとはとても口下手なんです。最初の方のラジオなんて何を言ったらいいのか分かんないし、全然言葉が思いつかなかった人間でした。それを解消するために、自分が言いたいことをパソコンで打ち込んで文章化しています。

もう一つ大事なのは、こういうイベントの時「自分はどういう表情で話しているんだろう」というのを客観的に確認することです。YouTube(林勇Tube!!)をやり始めてもう2年ぐらい経ちますけど、一人しゃべりができるようになったのは本当にYouTubeの賜物です。生配信で1時間ぐらいコメントを拾いながら、パーッってずっと一人しゃべりをするんですが、YouTubeで生配信をやっていると、自分がどんな表情でどう話しているかというのが客観的に見ることができるので、安心するというか、自信がつくんですよ。そこがフィードバックされて、こういう舞台でもあんまり気負わずに話せるようになったというのがあります。

「YouTubeをやれ」と言うとちょっとハードル高いかもしれないですが、緊張する場所や面接に行くことになったら、まず自分の言いたいことを文章化して、動画を撮ってみるのはいいと思いますね。そうしたらすごく見えてくるものがあるだろうから。

 

 

もし林さんが審査する側、自分の後輩として迎え入れる声優を探していると考えた時に、どういう人材に心惹かれるのでしょうか。

 

林勇さん:僕はオーディションを審査員の立ち位置で見たことがないので、わからないことも多いんですが、声優でもご活躍されている人は、人間的にもすごく素敵な方が多いんですよね。なので、もちろん芝居ができる前提ですけど、そのさらに先もう一歩を行くときって、そういう人間力などの部分かなと思います。

本当にシンプルなところでいうと『ちゃんと目を見てきちんと話す』『挨拶をきちんとする』というところができているのか。そういう身近なところから始まって、横のつながりで先輩・後輩を大事にしていくと輪が広がっていって、自分を覚えてもらえるチャンスにつながります。人とのコミュニケーションを取るのが苦手な人も、絶対気の合う人が一人や二人はいると思うから、その人を大切にするというところを大事にしてほしいなと思いますね。

 

 

様々な役柄を演じられていらっしゃいますけれども、キャラクターを演じるときに一番重要だと考えている部分はどんな点でしょうか。

 

林勇さん:アニメーションはオリジナルでない限り絶対原作があるので、まず原作を熟読させてもらって自分なりに役を深めるところが、当たり前ですけど大事ですね。そこで現場に持って行ったり、オーディションに持って行ったりする中で、僕は固め過ぎずにいきます。「このキャラクターは確実にこうだ!」という感じで、自分で固めすぎてしまうと、リテイク(やり直し)が来た時に直せなくなってしまうという状況に陥ってしまう人がいるんですよ。なので、その状態に陥らないように、なんとなく自分の中でぼんやり固めていって、相手側の要求に応えるのがとても大事だなという風に思っています。

この仕事で一番大切なことは対応力と順応性だと思うんですよね。自分が「絶対こういうキャラクターだ!」と思って持っていたのが100%あっているとは本当に限らないので。そこで相手の要求やすり合わせで「こういうキャラクターだ」みたいなディスカッションをして、そこでお互いのイメージにキャラクターをすり合わせていけるかどうかというところだと思うので、そこがプロとアマの違いなのかなとに思っています。

怖がらずに変化を恐れずにやることは、現場・オーディションの中で大事なんじゃないかなと思いますね。学校での練習の段階でも、いろいろ意見をもらっていると思うので、そこで思いきってやる。「変わってない」という風に言われる方もたぶん多いと思うんです。

いろいろトライして失敗をすることが大事なのかなと思いますね。

あとは自分の声をボイスで撮ってみる。アニメの好きなキャラクターがいるならテレビを消音にして、ボイスメモを撮ってみると面白いですよ。僕もよくやっていました。今はスマホで簡単にできますしね。

 

 

林さんは『SCREEN mode』で音楽活動もされていらっしゃいますよね。音楽に関しては高校生くらいの頃からやってみたいと考えられていたのでしょうか?

 

林勇さん:前から音楽は好きで。声優の仕事は高校生の時にもう一回劇団ひまわりに入って、少しずつ仕事をさせてもらっていて。もう一つ特技として身に付けたいなと思ったときに『歌』だったんですよね。専門学校に入って、歌のスキルを学ぶのと同時に独学でピアノを弾けるようになりました。作曲のためのコード弾きですけどね。そこから自分で作詞作曲をするようになって、リズム・アンド・ブルース(R&B)やソウルミュージックがとても好きだったので、クラブなどで歌っていました。

あとは21歳くらいのとき、劇団ひまわりにいたときに、実は宮野真守とユニットを組んでいたんですよ。2人で曲作って、歌詞作って、ユニット名が『宮野と林』。何の工夫もないユニット名をつけて活動をしていました。

 

 

今回登場いただく際のBGMとしてOfficial髭男dismさんの『Cry Baby』を流させていただいたんですけど、マイキーバージョンとして林さんが歌われているバージョンもあります。まだ聞いたことがないという方はぜひご覧になってください。マイキーとして『Cry Baby』を歌われています。

 

 

林勇さん:高音を出しながらキャラを維持するというのは難しかったですね。

 

 

動画では林さんの歌唱シーンも公開されていますが、喉や肩、胸あたりのラフさ、すごく力が抜けていているのにしっかりした発声をされています。歌を歌う際に心がけていることはありますでしょうか。

 

林勇さん:いろいろなことをやっていましたね。ボイストレーナーも、これまで10人以上の方に教えてもらいました。人それぞれの教え方があるので、自分の好みにあった、自分の方向性にあったボイストレーナーさんに出会えるのも大事なことです。

あとは声の出し方ですよね。僕はアニソンを歌うときロックが多いんですが、喉を開いて声を出す感じなんですよ。お腹の力を抜いて、喉を開いて、高い声を出すというのが主流でした。

ただ歳を重ねてくると持久力がなくなってきます。なので『Cry Baby』を歌うときは、あてるところは鼻にあてて高音を出すというイメージで歌っていました。そうすると今までのロックを歌っている高音に比べるとちょっと細めなんですけど、高い音が出ています。

曲調によってですけど、あてるところを意識して高音を出すとより楽に出せるところが見つかると思います。こればっかりは身体を解剖して研究していかないとですね。

 

 

今日は在校生からも事前に質問を受けており、こちらもお伺いしたいと思います。

「最近の声優さんは20代で時が止まっているかのような見た目がお若い方が多いですが、林さんの若さの秘訣・体形の維持で気を遣っていることはありますか?」とのことですが、いかがでしょうか

 

林勇さん:ちょっと詳しく話すと、僕はイベントやライブ、ミュージックビデオの撮影などがあるたびに減量しています。その減量がケトジェニックダイエットっていう方法です。ごっそり糖質を抜いて生活するタイプのダイエットで、めちゃくちゃ簡単に言うと1袋6本くらいが入っているウィンナーを朝昼晩食べて、MCTオイルというココナッツのオイルを30ml入れたブラックコーヒーを魔法瓶に入れて1日ゆっくり飲む、みたいな生活を送ったんですね。この間はそれを3週間くらいやって。それで5キロくらい痩せました。

塩コショウの鶏肉、牛肉、豚肉、何でもいいですよ。糖質がほとんどないやつだったら。でも結局飽きてくるんです。じゃあ何が一番いいかって味がついているウィンナーがいいって気付いて。シャウエッセンばかり食べていました。

一番強烈に取り組んでいるもので言えばそれですね。本当は食べ物が大好きなんです。メリハリがないとダメというか極端で、好きなときに好きなものを食べて、我慢するときに我慢して。うちの後輩に「7キロ痩せてもう5キロ戻っちゃった」って話すと「もったいない!」って言われますね。

メンタル面も鍛えられます。1ヶ月くらいケトジェニックダイエットをやると、ものすごく冷静になります。余計な力を使わないようになっているのか、すごく物事がクリアに見えます。研ぎ澄まされるという感覚がわかると思います。

もしかしたらオーディションの時はいいかもしれない、すごく集中できるから。でも必ずしもそのモードに到達できるとも限らなくて、糖質をとらないのでボーッとするときもあります。諸刃の剣なのでやらない方がいいです(笑)。僕には合ってた、というものなので。

肌のケアは特に何もしていないですね。化粧品もオールインワンの安いものしか使ってないです。睡眠は1日6時間くらい。これも平均的ですね。1日1回は魚の食事を摂るように心がけてはいますかね。あとはラーメンを食べ過ぎないことです。

 

※林勇Tube!!に動画があるのでぜひこちらもご覧ください。

 

 

同じく2年生からの質問です。

「『ハイキュー!!』や『東京リベンジャーズ』などのアニメアフレコと、外画吹替の収録方法の違い、演技面での違いについてどのような違いを感じられているでしょうか」ということでお聞きしたいと思います。

 

林勇さん:まず収録スタイルが違うのは、イヤホンの有無です。外画は元の映像の音声を聞いてそこにあわせなきゃいけないので、イヤホンがあります。収録方法の違いはそれだけですかね。

アプローチというのは結構違って、外画だとあちらでお芝居をされている方がいらっしゃるじゃないですか。だから、自分のもらったキャラクターの役者さんの意図をくみ取って、まるでその人が話しているかのように声を当てていくという作業は、僕は自分なりの外画の作り方であります。

やはりアニメになるとそれが通用しないんですよね。お芝居を先にされている方がいない画の状態なので。だからやはりさっき言った原作をまず読み込んで、いろいろ自分で役作りをしていきます。

本番はというと、画が出来上がっていないことばかりで、画の色がついていなければ、白黒の状態でどのキャラクターがどういう風に動いているのかがわからない時もあります。やはりト書きなどの情報を自分で読んで、あとはイマジネーションですね。自分の中で、どういうキャラクターなのか考えて、アプローチしていきます。『想像していく』という部分ではアニメの方が大きいと思うので、その力は問われるかと思いますね。

 

 

会場には、高校生の方で今声優を志しはじめている方、これからアニカレに進学するという方もいらっしゃいます。声優を目指すにあたって、その想像力はどんな風に引き出しを増やしていくとよいのでしょうか。

 

林勇さん:人の芝居を見る、聞くということがインプットになって、自分なりのお芝居に転換していくと思います。まずは見聞を広げるというか、見るもの、インプットするものを多くするというのが大事です。

感性の部分はなかなか教えられる部分が少なくて、それぞれ十人十色の良さがあるものだと思います。それを見つけていくというのは多分、この学校に入っても課題なんじゃないかな。

あとは、自分の声を知るということと、自分の声を大事にお芝居していくっていうのは、結構大事かなと思いますね。自分の一番高い声、低い声でお芝居しても、お芝居の幅に限度が来てしまう。普段の自分が話しているトーンの声をなるべく使ってお芝居をするという風に心がけた方がお芝居の幅は確実に広がるので、自分のベースの声ときちんと向き合って「どう芝居をするか」という風に考えた方がいいと思いますね。

 

 

エンタメ業界でお仕事を長年続けられていて、一番幸福を感じる瞬間はどんな瞬間でしょうか?

 

林勇さん:作品のイベントに出た時ですかね。アニメイベントのステージに立たせてもらった時に、「これだけこの作品を好きでいてくれている人たちがいて、楽しんでくれてるんだ」というのが目にダイレクトに伝わるので、すごく嬉しいですよね。オーディションで受かったときももちろん嬉しいですけど、それ以上に作品を通してたくさんの人が感動してくれていると思うと、それが一番嬉しいかなと思います。

もちろん、こういうイベントもすごく嬉しいです。声優を目指そうと思っている人たちにお話させてもらうというのも、自分の経験が積み重ねていないとできないですからね。そういう風にちゃんと聞いてくれている人がいるんだなって感謝です。

 

 

最後に、会場の皆さん、声優業界、マンガ業界、アニメーション業界を目指す来校者の皆さんにメッセージを頂戴したいと思います。

 

林勇さん:本日は皆さん、貴重な時間を僕に割いてくださって本当にありがとうございます。僕も子役からやらせてもらっていまして、僕自身、芸歴は34年になりますが、本当に最初の方は全然芽が出なくて、それこそ小さい頃はみんなが知っているような作品もやらせてもらっていましたけれども、実際食えるようになったというのは、20代後半ぐらいだったんですね。で、30歳になって『ハイキュー!!』の田中龍之介に出会って、同じくらいの時に『SCREEN mode』で音楽デビューして。で、そのちょっと前から食べられるようになったというところがあって、ようやくこの『東京リベンジャーズ』というものに39歳になって出会ってというところではあるので。自分で言うのもなんですけれども、なかなかもう遅咲きの人間だったんですよね。だけど、やはり僕はそこで「好きだから諦めない」っていう気持ちがあって。「ずっとこの場所で生きていくんだ」という気持ちがありました。なかなか満たされなかったり、難しかったり、大変なことが多かったりもするけれども、僕はまだ「諦めなければ夢は叶う」って信じたいし、それを発信していきたいなという風に思っております。

専門学校に行って大変なこともあるでしょう。全然うまくいかないことの方がきっと多いかもしれません。だけれども同じ目標に向かって頑張っている友達と楽しんで、刺激し合って。全員が全員声優になれるという美談みたいな話はする気はないです。合格したり、不合格になっちゃったりする人がやはりできてしまうんですけれども、やっぱ一生懸命に自分が興味あるものに対してトライしてやり込むというか集中する。それは絶対に無駄にならないことだと思うんですよね。次のことにも繋がってくると思いますし。この在学中の期間で頑張っていただきたいなと思っております。

声優を目指されている方も多いでしょうから、いつかスタジオで共演できることを僕は祈っておりますし、もしお会いできたら「アニカレであの時いました」と声をおかけください。本日は本当に短い間でしたけれども、色々とお話を聞いていただけてうれしかったです。どうもありがとうございました。

 

 

林さん、ありがとうございました!

 

 

10月にはグループ校、東京アニメーションカレッジ専門学校の学園祭『橙美祭』にゲストとしてお越しいただきます。こちらもよろしくお願いします!

 

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