来校ゲスト帖
声優 本泉莉奈さん 大西綺華さんTALK LIVE!!(CAT GROUP祭り2022)
6/12(日)のCAT GROUP祭り2022にて、アニカレ声優学科卒業生の声優 本泉莉奈さん、大西綺華さんによる対談形式のトークライブを開催しました!
本校卒業生が並ぶステージというのは本校始まって以来です。
会場には中高生、在校生がいらっしゃいます。まずは中高生時代の頃からのお話をお伺いしたいなと思います。お二人はどんな中高生でいらっしゃいましたか?
本泉さん:中学生の時は卓球部に所属していて、部活ばかりしていました。もちろん学校でも練習するし、地区にいた卓球協会の方の施設で友達と一緒に練習をさせてもらっていて、土日もそこで練習して、大会に出て、と部活漬けの中学生活を過ごしました。
高校生の時は、一応同じく卓球部には入ったのですが、すぐ幽霊部員になって。ずっとバイトばかりで、友達とカラオケに行ったり、プリクラ撮ったり、映画を見たりとか、ずっと遊んでました。
大西さん:私は中高生通して『本の虫』って呼ばれるくらい本が大好きでした。1ヶ月に1~2冊は必ず読むくらいのペースでしたが、ある時ふと、歩いている時とか自転車乗っている時も「手持ち無沙汰だな~。もっと本読みたいな」と思って、最終的には自転車に乗りながら本を読んだこともあります。皆さんは絶対にマネしないでくださいね(笑)
午前中には声優学科の在校生に向けてお話をしていただきました。在校生たちの印象はいかがでしたか?
本泉さん:なんかもうエネルギーの塊だなって。挙手するスピードとか若さが溢れているので、本当にこれからの人たちなんだなっていう。なんか自分たちの学生時代、アニカレ時代を思い出しちゃいました。
大西さん:私も、もともとはこの客席で皆さんのようにいろんな声優さんのお話を聞いていた立場だったので、あの時のドキドキ感というか、現場の話を聞いて「すごい!ためになる!」と思っていたあの頃の気持ちを思い出させてもらいました。
本日足を運んでいただいている高校生の皆さんは、現在進路を色々と考えていらっしゃいます。お二人は高校生時代、オープンキャンパスには参加しましたか?
本泉さん:私は寮に体験宿泊をして2日間続けてオープンキャンパスに参加しました。出身が福島県なので、東京の学校に通うにあたって上京が伴うんですよね。そんな時にオープンキャンパスと寮の体験宿泊が同時にできる機会があってお邪魔しました。やっぱり「環境が整っているな」というのを1番感じて。事前にパンフレットを拝見していても、学校の明るさ、設備の環境、どんな先生がいるか、卒業生はどんな方がいらっしゃるのかがすごくわかりやすくて。実際に授業を体験したときも、先生が褒めるだけでなくて一歩踏み込んだ具体的なアドバイスをくださったり、先輩のサポート・雰囲気も温かかったりして。ここで勉強したら自分も前に進めるんじゃないかなと思うことができました。アニカレに来て、すぐ進学を決めました。
大西さん:私は何校か回って進学を決めました。声優学科がある専門学校さんを何校か見学・体験させていただいて、比較をした上でアニカレを選びました。何が他と違ったかというと、イベントにかける力が他と違うなと思って。他の学校は授業を後ろから少し見学させてもらって、解説をしてもらって終わり、という形が多くて。フェス、お祭りみたいなものもあるんですけど、なかなか奥まったところまでは見せていただけないというか。たとえばこの施設。ホールの裏を回れるバックステージツアーであるとか、そういうディープなところ、エンタメ業界の普段見れないところを見せていただける機会がアニカレは多くて。全部見せた上で「アニカレに来るかどうか決めてください」みたいな、懐の大きさじゃないですけど、エンタメ業界ならではの器の広さを目の当たりにして、アニカレに行こうと決めました。
学校生活の部分に関しても、卒業生の目線ということで伺いたいと思います。アニカレに2年間在籍されて、印象的だった授業やイベントなどはありますでしょうか。
本泉さん:やっぱり一番実践に近かったなと思うのはアフレコの授業です。声優のお仕事もされているこぶし先生が授業を担当されていました。ただ、こぶし先生の授業はこぶし先生が先生としてではなく音響監督さんとして、音響監督の役を演じて授業をしてくださっていたんです。これがすごく大きくて。たとえば声優のお仕事では、事前に台本と一緒にリハVという映像をいただくんですけど。それと全く同じ段取りで、この日までにこの資料をチェックして、もらった配役をやる。マイクの入り方ひとつから、もらったリハVを返すところまで、音響監督さんとのやり取りを含む一連の流れをシミュレーションできたというか、模擬収録という形でやっていただいていたなと。当時はなかなか気付けなかったところだったんですけど、卒業してから現場に入ってとてもありがたかったなと思いました。
大西さん:放送実習の授業、いわゆるラジオをやらせていただける授業が印象的ですね。マイクがあって、カフと呼ばれる音の上げ下げやオンオフをする機材があって、本格的な現場と同じように、ラジオがどうやってできるのかを学ぶ授業が放送実習なんですけれども。その授業が本当にプロフェッショナルで、ネタづくりから始まるんですね。講師がDJのお仕事をされているターキー先生で、ターキー先生は必ず「現場に行って取材してきなさい」とおっしゃるんですね。食レポだったら、食レポしたいものを実際に食べに行って、なおかつその店の主人にアポをとって取材して、そこまでやってネタ作り。レベルがかなり高かったと思います。学生の時代からそれは身につけておきなさい。クセにしなさいよということですね。
莉奈さんの音響の話じゃないですけど、授業だからやっているわけではなくて、そのシステムが全部当たり前だというプロフェッショナルの理想を教えていただいた放送実習は欠かせなかったなって、今思い返しても思います。
司会:大阪アニカレのアニソン声優コースでは、放送実習で制作した番組が実際コミュニティエフエム23に流れていますし、声優学科の全コースの制作番組がデジタルステーションOACとして学校のHPで視聴いただけます。
アニカレを卒業されたお二人に『専門学校を卒業する重要性』という部分をお聞きしたいと思います。今、現場に立つようになって、専門学校で学ぶということを率直にどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。
大西さん:現場に出て知ったんですけど、大阪アニカレはとにかく設備が現場とほぼ変わらない、全く一緒だと言っても過言ではない規模の施設で。その設備を授業で使っていたからこそ、現場に出ても物怖じしないというか「授業でやったのと同じところだな」って思えるのは大きかったなって思います。お芝居をする上でメンタルってすごく大事で、安定していないと今まで稽古してきたものが100%出せない。そこを底上げできる安定力をもらったのは、ここの現場に近い授業スタイルだと思うので「アニカレで学んでよかったな」って今も思います。
本泉さん:アニカレを選んだ理由にも重なるんですけど、私は地方出身なので、提携している寮があるかとか、あとは認可校かどうか、最終学歴を「専門学校」と書けるかどうかというところもあって。声優さんになる方法って養成所とか他にもたくさんありますけれど、全日制でお芝居を学ぶところに時間を割ける、集中できる環境というのが大きかったんじゃないかなって思います。
アニメーターやアニメ監督を目指されている皆さんからクリエイター目線の次のような質問をいただいています。『アフレコをされる前に監督さんなどと演技の相談はされますか?それとも事前資料から監督さんの意図を汲み取って、ご自身で収録までに作り込まれますか?』
本泉さん:私の経験だと、まず手元には台本と映像と資料は頂きます。で、その資料にはたとえばその作品の世界観とか、自分が担当させて頂くキャラクターがどういうデザインでどういう性格の子なのかなどの情報があります。作品によってどんな情報を事前に頂けるのかは変わってくるんですけど、まずは頂いた情報から自分なりに作り上げたものを現場でやって、そこから監督さんや皆さんと方向性を相談して整えていただくということがほとんどですね。よっぽど自分の中で解釈しづらかったり、分からないところがあれば、当日スタジオに入ってから事前に「ちょっと伺いたいことがあるんですけど」って声をかけます。なので資料をもとに声優がまず持っていって、そこからみんなで制作創作の作業に移っていきましょうというような流れですね。
大西さん:むしろ制作側の方と直接お話ができるのって結構珍しいことだなというのはありますね。歌のレコーディングのときに、作曲の方がその場にいてくださって「こんな雰囲気で考えているのでできればこんな感じで歌ってください」というディレクションみたいなのは受けたことはあるんですが、そういうのもたぶん珍しいのかなと思います。
直接お話できる機会って滅多にないですが、いろんなお話を聞けた分だけイメージに近づけると思うので、お会いできる機会があれば、つい質問を盛りだくさんしちゃいますね。
続いて本泉さんへの質問です。『HUGっと!プリキュア』キュアアンジュ/薬師寺さあや役を担当されていましたが、必殺技を言う時はどんなことを意識していましたか?
本泉さん:まず最初に必殺技ではなく「名乗り」というんですね。変身する時の口上があるんですけど、この作品を見てくれる層というのは子どもたちが多い。子どもたちに向けた作品ということで「マネしたくなるような言い回しを意識してほしい」というディレクションをいただきました。なのでタメをつくったようなキャッチ―な言い回しに変えています。
攻撃の時も作品のコンセプトとしては完全悪を倒す・消滅するというより、何かバックボーンがあって、ひと山越えたら後から仲良くなったりとかするような展開があることもあって。「ぶっとばすぞ!」という気持ちではなくて「そういう考え方もあるだろうけど、あなたは今ちょっと間違ってるかもしれない」くらいなんです。なので、気持ちはただのパンチ・ただのキックとは違うかなと。強い怒りの時もあったんですけど、根底にあるのは愛で、受け止めるという作品だったので、温かさを残しつつという難しいものではありました。でもそこが多くの方に愛される所以でもありますね。ぜひ皆さんも見てください。
続いて大西さんへの質問です。現在『ウマ娘 プリティーダービー』でメジロブライト役を演じていらっしゃいます。実在する競走馬のモデルがキャラクターになってゲームに登場するということですが、馬の性格だったり、特性みたいなものを事前に調べたりするんですか?それともご自身で指定をして作っているんですか?メジロブライト役を演じるにあたり、大西さんの中でどういった作り方をされていたのかという部分をお伺いしたいと思います。
大西さん:ウマ娘のメジロブライト、ブライトさんについては、キャラクターが既に出来上がっていて、いわゆるおっとりで、お嬢様で、プラスしてメジロ家のこういう子で、誰とどういう関係で、というのがしっかり出来上がっていて、そこに声を乗せるっていう作業なんですけど。史実のメジロブライトに関しては、事前に資料をいただくわけではないので、オーディションの時から何かブライトのことを聞かれたら答えられるように、いわゆる勝ち馬とか、何で勝ったのか。何で有名になったのか。何億円稼いでるみたいな。そういうところは調べておいて、もし何か聞かれたらパッと出せるようにしていました。
本泉さん:すごい。
大西さん:メジロブライトは98年の天皇賞(春)を制しているんですけど、その映像とか見るとやっぱり込み上げてくるものが全然違うので。それを見た後にウマ娘のメジロブライトちゃんを演じると気持ちの乗り方が全然違うというか。史実のメジロブライトありきのメジロブライトなので、こういう過去・バックボーンがあって、悔しい思いをしてっていうのを抱いて、メジロブライトちゃんに向かうようにはしていました。
ここからは会場内にいらっしゃる中高生の方からご質問をお聞きしてみたいと思います。
高校生:本泉さんに質問です。『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク』の日野森雫さんが好きで応援しています。演じる上で意識していることはなにかありますか?
本泉さん:演じ分けというか、結構素に近い部分があって。この役はオーディションではなくてお声かけをいただいた役で、かなり自分と近しい空気感がある子ですね。意識しているところといえば、丁寧さとかメンバーによって親密さが少しずつ変わってくるので、誰に対して話しているのか、心の距離感の差別化をどのくらい見せられるかは気をつけています。あとは歌を歌うときに自分ではなくて雫が歌っているというところで、歌詞の内容ひとつとってみても「雫だったらこの歌詞の内容をこういう風に解釈して、こういう風に表現するだろうな」っていうのを一つひとつ解釈して落とし込んでいきながら、できるようにはしています。
最後に会場の皆さんにメッセージをひと言ずつ頂戴したいと思います。
大西さん:大西も中高生時代に「声優になりたいな、よし!なろう!」と思って、今ここにいるわけで。その当時はすごく不安で、同意を得てくれる人が少ない職業でしたが、そんな中でこのアニカレに飛び込んで、いろんな志を持った、夢を持った仲間たちに出会って、励まされて励まされて今ここに立っていると思っております。今までの声優人生でまだ短いながらもいろいろあって、悔しい思いも苦しい思いもしながらこのステージに立っています。皆さんも学校生活を思いっきり楽しんで、いろんな感情を爆発させながら、素敵な役者さん・アニメーターさんなど、志を貫いていただければいいなと思います。いつかはお仕事でご一緒させていただければと思います。私も頑張ります。大西綺華でした。ありがとうございました。
本泉さん:今日皆さんここに来てくださったということは、アニメーションの業界にすごく興味を持ってくださっている方たちなんだろうなって思うんですけど、まずこうして専門学校の体験授業に来てみるという行動力が本当にすごいなと私も思っていて、やっぱり何がきっかけで最初の一歩になるかはわからないし、あとは好きなことがそのまま全部お仕事として直結できる業界です。
私は今、声の仕事をしていますけど、もともとゲームもするし、マンガも好きだしという本当にいろんなところが合わさって、今はお仕事で歌わせていただいたり、ステージやったり、お芝居以外のところもどんどんどんどん広がってきているっていうすごく幸せなお仕事だなって思っています。
皆さん今はとにかくいろんな選択肢をどんどん広げていく期間だと思いますので、仲間たちとの時間も大切にしていただきながら、自分と向き合ってね。後悔しない選択をできるように、親御さんとも相談するとかいろんなところに体験行って世界を広げてみるとか、そういう風に今の時間を大事に過ごしてほしいなって思います。ただ、無理して身体だけは壊さないようにしてください。身体を壊したらみんなの推しが悲しむと思って、全力で健康でいてください。本当に一番大事なので。今日は短い時間ですが、ありがとうございました。本泉莉奈でした。ありがとうございました。
本泉さん、大西さん、ありがとうございました!またいつでもアニカレに帰ってきてくださいね!
profile
本泉莉奈(ほんいずみ りな)
アニカレ声優学科アニメ声優コース卒業。
81プロデュース所属。2019年第13回声優アワード新人女優賞受賞。「HUGっと!プリキュア」キュアアンジュ/薬師寺さあや役、「プランダラ」陽菜役、「やくならマグカップも」青木十子役、「白猫プロジェクト」ソフィ役、「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク」日野森雫役、他多数出演
大西綺華(おおにし あやか)
アニカレ声優学科アニメ声優コース卒業。
ケンユウオフィス付属養成所「talk back」に特待合格。現在、ケンユウオフィスに預かり所属。2021年人気育成シミュレーションゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」メジロブライト役で出演するなど、輝かしいデビューを果たす。