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福山潤さん TALK LIVE!!

2022/07/26

2022年5月8日(日)のオープンキャンパスでは、「コードギアス 反逆のルルーシュ」ルルーシュ・ランペルージ 役 / 「おそ松さん」松野一松 役 / 「七つの大罪」キング 役 / 「暗殺教室」殺せんせー 役 / 「吸血鬼すぐ死ぬ」ドラルク 役など多くの作品にご出演中の声優、福山潤さんをお招きしトークライブを開催しました!

 

    

 

福山さんからは、会場に集まった多くの声優やエンタテインメント業界のプロを目指す高校生に対して、たくさんのエールやメッセージをいただきました。その一部を掲載します。

 


 

午前中には在校生に向けて特別授業を行っていただきました。大阪アニカレの在学生の印象はいかがでしたか。

福山潤さん:皆さん自身がすでに声優について学んでいるので、僕からの言葉を自分にどう取り入れようかと真剣な姿勢で聞いてくれました。なので、僕の方もどちらかというと『お笑い』といった皆さんを楽しませる方向ではなく、『授業』として皆さんになるべく身になることがあればと思いながら話をさせてもらいました。普段の僕のラジオを聞いたことがある人がいたら、そのふざけた感じではなかったと思いますね。

 

 

アニカレはこの大阪校と高田馬場に東京校がございます。福山さんには何度か足を運んでいただいていますが、学校の印象はいかがでしょうか。

福山潤さん:僕らが普段仕事で使っているスタジオっていうのは、ナレーション用、アニメのアフレコ用などと使用用途と場所が分かれているところが多いです。なのでホールがあり、アフレコのスタジオがあり、そしてスタジオでなくても教室でしっかりいろいろ勉強できる。ひとつの建物の中にいろいろなことができるスペースがあるのって、実は学校しかないんですよ。養成所でスタジオはあっても、こんなに広いホールがあることはないです。デビューした後に「多目的に使える設備があればいいのに」とは思うんですが、実際はなかなかありません。学校の環境は、ものすごく恵まれていますよ。特にスタジオ。しっかり密閉された防音ルームだと、声とか音が普段聞こえているものと変わったり、音がない空間というものにものすごく違和感があったり、独特の空気・気圧になったりします。こういうものは体験しないとわからないので、それに慣れておけるというのはかなりのアドバンテージかなと思います。

 

福山さんの高校生時代について伺いたいと思います。18歳頃には既にお仕事を始められていたとのことですが、声優を志すきっかけは何だったのでしょうか。

福山潤さん:高校の時に同じクラスになった友人に誘われたのが、養成所入りのきっかけですが、実はもともとアニメーションを作る側になりたかったんです。絵を描くのも好きでしたし、創作の方に憧れがあったんですね。ただ自分に向いていない部分が多々ありまして、じゃあどうしたら作品作りに関われるかなと思った時に、演技は体ひとつでいけるのでは、っていう最初はそんな軽い出発でした。

 

高校生の方で具体的に声優を目指しているという方も会場にいらっしゃいます。高校生活の中でも、やっておくといいことがあれば、ぜひ教えてください。

福山潤さん:学校の勉強は非常に大事です。特に僕たち声優って、国語を使うんです。常用漢字は当たり前、常用ではほとんど使わないような漢字もルビ・フリガナが振っていないことがあります。専門的な言葉、それこそニュースとかで政治的なこと・時事的なことも、ごくごく当たり前に使うことが多いんですね。国語というものはダイレクトに役に立ちます。お仕事によっては原稿100枚、200枚読まなければならないことは僕らの仕事では当たり前の量です。文法がわからない、漢字がわからない、もしくは書いてあることによって何が大事か読解できないと、人に伝えることができないですよね。僕らの業界に入ってからそれを勉強するのは遅いです。なので、学校で学べるうちにどんどん学んだ方がいいです。でないと後で苦労します。漢検とか特別なものをやれっていうわけではなくて、辞書で調べる癖をつけるだとか、人の言ったことを文章で理解できるようになる、言葉にして行動して置き換えることができるという能力が備わっているだけで、かなり出発が早くなりますね。また、歴史も知っているに越したことはないです。特に大人気なのは三国志とか、最近だとキングダムなど春秋戦国時代ものだとか。それこそ春秋戦国時代がどういう時代だったかということを、僕らにはそこまで説明されません。なので、日本の歴史もそうですし、世界史の中でも有名なトピックを知っておくということに害はない…と言いますか、知っていないと困ることが多いですね。

 

 

学生時代を経て養成所に入られ、技術を磨かれたわけですが、その時から続けていることは何かありますでしょうか。

福山潤さん:『考えていることや目に見えたものを言葉に出す』というのはずっとやっていますね。声優って台本を読む仕事だと思うじゃないですか。人間って面白いもので、視点に誘導されて台本に向かって読んじゃうんですよ。なので「おはよう」って書いてあれば「おはよう」と台本に向かって言ってしまうんですけれども、本当は目の前の画面の奥で見ている人たちに言わなきゃいけないので。たとえば誰も横にいないけれどパッと顔をあげたときに「あ、いたんだ」と言ってみるとか。なるべく台本がない状態で言っている言葉の感覚、もしくは相手がいるときの感覚、そういった状況を『読む』ということに置き換えられないのかなということはずっとやっています。

 

アニメーションやゲーム、外国映画の吹替などによって異なる収録方法の違いについて、お伺いできますでしょうか。

福山潤さん:吹替の場合は、映像が実写の映画やドラマでもともと存在しています。アニメーションは同時につくっているので、映像が途中のものであったり完成品であったり、場合によってはないものもあったりします。でも、吹替は完全にあるんです。たとえばアメリカのドラマだったら、英語を演技の中で話しています。そして、効果音・音楽も全部出来上がっているんです。それを片方の耳にヘッドホンもしくはイヤホンをして聞きながら収録をします。英語を聞きながら、そこで「Hi.Michael」と聞こえてきたら「おおマイケル」ってこっちは日本語を同時に被せていくというやり方です。皆さんあとで片耳だけ塞いで話してみてください。大変話しづらいと思います。音が中にこもってしまってわからない。ヘッドホンで片耳を閉じてしまうと、音が片方だけ届いてくるので、自分の声の感覚が最初は伝わりづらいということもあって、慣れがちょっと必要だと思います。そこが違う所ですね。

 

ゲームの場合、ムービーシーン以外はボタンを押したら次のセリフが流れていきます。なのでファイルを分けなければいけない。その都合上、人と掛け合う収録は効率が悪いんですよ。なので一人ずつ録るというのがゲームの主流のやり方です。先ほど僕が1人で話していると言った理由も、たとえば話し相手がいるから今こう話しているじゃないですか。でも、話し相手がいない。しかも受け答えとして「そんなことないよ」って答えないといけないものを、台本を読んでしまうと棒読みの「ううん。そんなことないよ」となって会話にならないです。なので、会話をちゃんとやっているようにイメージして、相手を前にして投げかけられたというイメージを投影して声に出していくという2段階のちょっとした心のテクニックが必要になります。

 

 

本日は会場内の高校生の皆さんから直接質問をさせていただこうと思います。

高校生:これまで福山さんが演じられたさまざまな役の中で、一番演じるのが難しかった役と、反対に演じやすかった役を教えていただきたいです。

 

福山潤さん:難しいという部分で言うなら『コードギアス』という作品はとても難しかったなと。今も続いている仕事ですが、実は当時の僕では出せないぐらいの低い声を出すように求められていました。皆さんやってみるとわかりますが、低い声は出せるんですが、そうすると明るい声・大きい音が出せなくなります。共演者の方々との声のトーンをしっかりと分けたいから、僕は低くしてくれというオーダーでした。オーディションでやって準備していた演技のプランを、声を低くした状態では全然できないんですよ。自分が思っていたよりも制限のあるものを要求されて、その場で調整するしかなかったという部分で、一番難しかった作品ですね。

逆に楽しかった、技術で言えばめちゃくちゃ難しくてでも楽しかったのが『ホリック xxxHOLiC』です。人の真っすぐな部分、喜怒哀楽もそうですし、見てて面白いと思うようなハイテンションの掛け合い。ツッコミもボケもシリアスな部分もそのすべてが詰まっているので、これを画にあわせるというのは難しいものもあったんですが、その分お芝居としてキャラクターを演じているというところに関してはとても楽しかったですね。

 

 

高校生:僕は今SNSとかで声を使ったキャラクターの声マネとかをやっています。声マネは、自分の声にマネをしている声優さんのクセがついてくると思うんですが、将来声優になるとしたら、そのクセっていうのはない方が良いものなんでしょうか。

 

福山潤さん:結構先のことを見据えてますね。マネをするということに関しては、何の問題もないです。クセがついてしまうというのは、何かのキャラクターみたいな話し方を覚えてしまって、意識しなくてもそれが出るようになる、身体の使い方で慣れてしまうということだと思います。大切なのはこれを自覚しているかということです。モノマネができてしまう・得意であるということは人の特徴をとらえやすいタイプだと思います。逆に言えば人の特徴を持ちすぎて、自分の考えたものがなくなってしまい「●●みたいだね」だけで終わってしまうことになります。重要なのは、自分の普段話している声・モノマネをしていない状態でどこまで演技ができるかです。それができればモノマネをしている口調で、自分の根幹を当てはめていくことができるので、必ずしもマネ・クセが悪ではないです。

 

 

高校生:オーディションを受ける時に何か大切にしていることはありますか。

 

福山潤さん:オーディションもいくつかのやり方があります。スタジオで直接スタッフの方々の前で演技をするケースと、特にこのコロナ禍になってからは、いわゆるデモテープで全てを終えてしまうことが増えました。名前と役名を言って、オーディションの必要なセリフを吹き込んで、審査する制作会社に提出するというのがテープオーディションの流れです。スタジオでスタッフの皆さんと録れるケースは、向こうの要望というのが直接聞けるんですね。「今のいいので、もうちょっとこうしてほしい」という変化が要求されます。テープオーディションの場合は、変化というのは要求されません。自分で考えてやらなきゃいけないので、この役に求められているものは何か、どんな表現をオーディションの担当者は聞きたいのかを台本の中からよく考えるようにしています。

 

あと、どのオーディションもそうですが、一番重要なのは思いきりやることです。緊張もするし、どうやってやろうかなと迷うんですが、実践する時には不安を自分の中で消して思いっきりやるように心がけていますね。

 

 

高校生:声優さんは喉をたくさん使うと思うので、喉が痛くなったり、声が出なくなったりということもあると思います。普段から気遣っていることって何かあるんでしょうか。

 

福山潤さん:普段のケアで気を遣っていることは、声をよく使った後はよく寝るようにします。喉って寝ている間しか回復しないので。声優ってめっちゃ喉の使い方が乱暴なんです。歌みたいに繊細なものを要求されるケースもありますし、ギャグものなんて勢いで叫んでるだけですから。なので、このくらい使ったときはこのくらい寝たら治る、というのを把握しておく。それよりも行き過ぎたら、ちょっと1時間早めに起きてゆっくりお風呂に浸かって体をほぐす時間を設けようだとか。寝るのは超重要です。

 

 

改めて会場内にはエンタメ業界を目指す皆さん、そして保護者の皆さんがいらっしゃいます。最後に福山さんからメッセージをお願いいたします。

 

福山潤さん:声優という仕事をさせていただいて、もう20年以上というキャリアを持つようになりました。まだまだ実際、声優というものがどういう仕事なのか、親御さんの方々は分からないなって不安に思う方もいらっしゃいますし、そして皆さんも実際立ってみないとわからない世界でもあると思います。重要なのは、今ある環境の中で何ができるのかということを考えてください。友達とはちゃんと遊ぶ。勉強はちゃんとする。次に親御さんが「声優になりたい」っていう夢を不安がっているのだとしたら、親御さんがなぜ不安がっているのかしっかり話しあってください。不安定な仕事だからと思うのは当然です。それでも、普段の学校から、生活から、人付き合いから、そういうことをちゃんとできる人になれるんだということを示せば、どんな世界でもそれなりにちゃんとしたことをやった上で、答えは出すのではないかという安心を与えることもできるのではないかなと思います。難しい世界ではありますが、皆さんのその気持ちが本物であれば、いつか一緒にスタジオで作品を作ることもできるかもしれません。夢はありますが、厳しい世界です。そこだけははっきりと言っております。ですが、その分やったという、その場所にいるという達成感を得られる仕事でもあります。なのでそれぞれの中で、そしてご家族と向き合いながら、一緒に考えていってはいかがでしょうか。

 

福山さん、本当にありがとうございました!

 


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