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声優 梶原岳人 さん TALK LIVE!!

2022/04/26

2022年2月6日のオープンキャンパスにて『あんさんぶるスターズ!!』天城一彩 役、『ブラッククローバー』アスタ 役、『炎々ノ消防隊』森羅日下部 役など、多数ご出演の声優、梶原岳人さんのトークショーを開催しました!

 

会場には声優やエンタテインメント業界のプロを目指す高校生が多く集まり、梶原さんより業界を目指す皆さんにたくさんのエールやメッセージをいただきました。その一部を掲載します。

 


 

大阪校には初めていらっしゃったとのことで、本日は午前中に在校生に向けて特別授業を実施していただきました。本校、また在校生の様子はいかがでしたか?

 

梶原岳人さん「すごくフレッシュだな!という印象を受けました。僕自身もまだまだ、と思っていますが、やはり学生たちを見るとそのフレッシュさっていうのはいいなと思いますね。学校の設備も見させていただきましたが、僕らが普段使っているスタジオと本当に変わらないぐらいのスタジオで。レコーディングスタジオもそうですけど、全部東京で見たことあるような感じのスタジオで、そのまま実践で使えるなって思いました。学校ですべて完結できるいい環境ですね」

 

本日は声優、アニメ、マンガ・イラストなどエンタテインメント業界を目指している高校生の皆さんにお集まりいただいています。梶原さんは高校生の頃、どんな学生でどのようなきっかけで声優のお仕事に興味を持たれていったのでしょうか。

 

梶原岳人さん「実は結構やんちゃでして(笑)。学校に行くフリをしてそのままサボるような子どもでした。高校の時は海外に住んでいて、その時に日本が恋しくなったのが、いろいろなアニメ作品を見始めるようになったきっかけですね。それで「自分はこういう仕事をやりたいな」とちょっとずつ思い始めました。でも海外に日本の声優を目指す養成所も専門学校もないので、アニメの音を消して画にあわせて音を当ててみたり、マンガを読みながら声を当ててみたりとか、自分でできることを考えてやっていましたね。その後日本に戻り、大学に入学しました。映画専攻だったので映画の勉強で役者の実習や、他の人の制作課題に役者として出て、そこからちょっとずつ芝居の仕事に触れるようになっていきました」

 

その時の経験が、音楽活動の一環でMVのプロデューサーを担当されるなど、クリエイティブな映像を作る側のお仕事でも生きているんですね。

 

梶原岳人さん「そうですね。無駄なことはなかったなと思います」

 

今、会場内にいる皆さんは声優に興味がある高校生が中心です。高校生の頃から声優というジャンルに興味を持っている皆さんに、今のうちにできる演技をする上でのアドバイスをいただけますでしょうか。

 

梶原岳人さん「今は業界の人がすごく若くなっていて。僕が初めて事務所に入ったのが21歳くらいで、僕はもっと早く始めたかったなと思いますね。何か行動を起こすなら早い方がいいのかなと思います。自分が何か行動を起こせるのであれば、たとえばオーディションに出してみるとか、演技の勉強に映画を見るとか。自分のやりたいことに向かっていくのは今すぐでもいいと思いますね。できることは何でもやってみて、人生経験を積むと自分に返ってくるので。何でもアンテナを張って、悲しい気持ち、ムカついたこと、全部を自分の中にしまっておいて、それをいつか演じるときに引き出しとして出せるように、いろいろなことに挑戦するのがいいと思います」

 

 

活動内容の部分についてもお話をお伺いしていきたいと思います。プロとしてお仕事を始められてから、デビュー半年で『ブラッククローバー』のアスタ役として主役を射止めていらっしゃいます。当時の心境は覚えていらっしゃいますか?

 

梶原岳人さん「当時の演技は今見たくないですね…(笑)。最終回(170話)終了直後に配信番組があったんですよ。キャストがたくさん出てくる番組が放送されましたが、バラエティコーナーの1つで「第1話の映像が実は残っています!」って言われまして。僕が必死にアフレコして何度もリテイクされている映像を後ろから堂々と撮られていて。今までは「その映像はもうなくなりました」とかって言われていましたが、最終回の後のイベントで秘蔵VTRとして流されて。こんなの見たくないって(笑)。超苦戦して、本当に下手くそだけど、がむしゃらにやったんだなっていうのは思いましたね」

 

アスタ役を演じる中で、課題などはあったのでしょうか。

 

梶原岳人さん「特に叫ぶ演技は難しくて、今でも課題に感じていますね。『ブラッククローバー』では声が裏返りまくっていまして。たとえばバトルシーン。人間としても強くて自信に満ち溢れているキャラが叫ぶダサい声が合うんですよね。なので裏声が似合わなくて、それを指摘されることが多かったです。どんどん筋肉もついていくようなキャラだったので、その点はずっと苦戦していました。今でもそうですけど」

 

課題もあってリテイクを重ねられたとのことですが、リテイクされることに対してプレッシャーを感じてしまう、萎縮してしまうということはありますか。

 

梶原岳人さん「リテイクされることに対して「嫌だ」「リテイクされたくない」と思って、本当に思いきった芝居ができなくなることがあって、それが自分の中でしんどかったです。「思いきりやるんだ!」ってやれればいいのですが、それすらも怖がって芝居にブレーキがかかっちゃうことがよくありました。それは良くないし、どうにか打破しなきゃいけない流れだと思いながら、実は今もまだ乗り越えられてない壁で。『ブラッククローバー』は170話終わって一旦お休みしていますが、次は劇場版が控えています。その収録では、さらに上を越えていかなきゃいけないので、そこに今自分がどう向き合っていけるんだろうかってのはすごく考えています。永遠に課題は尽きないですね。満足してしまったらそこで終わってしまいますしね」

 

最近の作品ではこちらも主役を務められています『炎々ノ消防隊』も人気作品の一つになります。梶原さんが座組の長、座長として意識していることなどはありますでしょうか。

 

梶原岳人さん「最近はありがたいことに主役ではない主要キャラの役をいただくことも多くなっていて。そうなってから思うのが、やはりコミュニケーションを自分から取りに行くのが大事だなと。昔は「先輩方にこんな話しかけていいのかな」とか、「話しかけて嫌だなって思われたら怖いな」とかと思って、すごく引っ込み思案で尻込みしたところがたくさんあって、あまり「座長だから」とか考えられなかったんです。けれども今はそのプレッシャーがない分、逆に話しかけられる。話しかけたら、全然みんな優しく話してくれるので。内容は何でもいい。「いい天気ですね」とか。何かきっかけをつくることによって、そこからどんどん話が広がって、芝居しやすい環境、変に緊張しすぎない環境ができますね。ある程度コミュニティができれば知った環境で楽しくやれると思うので、コミュニケーションをとるのは大事だなと思います」

 

緊張がピークに達したときに気をつけている点や、リラックス方法などはありますか。

 

梶原岳人さん「それこそ仲間を増やすことかなと思います。僕も今になってようやく少しずつ幅広く業界の人とも話せるようになってきて、だいたい見知った人というか複数の現場でご一緒している方も多くなってきました。それくらいになってやっぱり見知った顔がいると安心するなと思います。イベントでもそうです。何か話したことある人が隣にいてくれると、それだけで落ち着けますね。あとは、僕は1回トイレにこもります。スタジオに自分の縄張りじゃないけど、落ち着ける場所をつくってスイッチを入れています」

 

演技の役づくりの部分についてももう少し深掘りさせていただこうと思います。役作りの中で一番大切にしていることは何でしょうか。

 

梶原岳人さん「台本をしっかり読み込むことですね。僕は文章だけで得られる情報をすごく大事にしたいなと思っています。たとえばマンガだと、わりと画の影響を受けやすいけど、この顔からこういう気持ちだなぁとかって思うんじゃなくて、台詞を読み解くというか言葉を読み取って、その言葉の裏にある気持ちとか、本当はこう言いたいけどこう言っちゃっているのかなとか、逆に本当に心からその気持ちで言っているんだろうなとか、表向きだけじゃない裏に隠された気持ちというのを、顔の表情というよりは言葉で、文章で読み解くことを大事にしようと思っています。これはいろんな経験をちょっとずつ積み重ねていくことによって、だんだんとそう思うようになってきました」

 

 

音楽活動の部分についてもお話をお聞きしたいと思います。本校声優学科の中には、声優技術を磨くアニメ声優コースのほか、歌と声優技術の両方を学ぶアニソン声優コース、舞台俳優としての実技も学ぶ声優/俳優コースがあります。今は映像に顔出しでお芝居をされる声優さんや、歌える踊れる曲も作れる声優さんもいらっしゃいます。梶原さんもそうですよね。そういったマルチに活動の場を設けられる声優業界でお仕事を続けていくにあたって、何か気をつけてられているようなことはありますか。

 

梶原岳人さん「最初から僕は歌やダンスもできる声優を目指していたわけではなくて、初めはお芝居しか見ていなかったです。そもそも自分が演じることが面白い、楽しい、こんなアニメ作品に出たい、こういう演技がしたい、こういう風に芝居していきたい。それを突き詰めていこうとしたら、それに付随するように音楽とか、キャラクターソングとか、ライブとかそういうのが付いてきてくれたという感じですね。ただ、「演じる」というのは何に関しても主軸にあって、結局歌も芝居の一つだなとは思っています。たとえば歌詞の言葉の意味を理解して、自分で考えて落とし込んで、その気持ちを出せるかどうか。そういうところもお芝居に通じる部分なので、自分は主軸がお芝居にあってよかったなと思っています」

 

梶原さんはご自身の楽曲、そしてキャラクターソングでも数多く歌われていますが、それぞれの楽曲に取り組む際に使い分けや気をつけられていることはありますか?

 

梶原岳人さん「基本は同じかなと思います。キャラクターソングになるとそのキャラに声を変えて歌うというよりかは、気持ちをキャラクターに寄せるっていう感じで。歌詞の内容とかを理解して読んで「こういう気持ちで歌おうかな」というイメージです。もちろん声色を寄せてくれっていうオーダーはあるんですけど、基本は言葉から読み取れる気持ちを考えるという部分は、キャラクターソングも自分の曲も変わらないかなと思います」

 

たとえばですが、自分が大事に演じられてきた役柄で「こうやって言うのか?」「歌うのか?」といった疑問をもたれることはありますか。

 

梶原岳人さん「あります。こんなこと言わないんじゃないかなって思いつつ、言うと角が立ちそうだなって、なかなか言えないこともあります。そこはお仕事なのでね。でも言った方がいい場面もあります。現場と人にはよりますが、むしろ「いいですね、そのアイデア!」と言ってくれる人だとわかっていれば言うべきだし、初めての現場とかだとどういう意図かというのは聞くようにしていますね。理解せずにやるのが一番良くないかなと。一度「なんだろうこれは?」と思うと、声にも音にもそれが出てしまうので。そうじゃなくて、ちゃんと一個一個理解した上で、自分で「なるほど、こういうことね」ってかみ砕いてからやらないとダメだなって思っています」

 

今日はYouTubeについても少し伺いたいと思います。梶原さんの音楽活動の内容がメインの個人名義でのチャンネルと、エンタメ性にとんだ『ガクともチャンネル』でも活動されています。内容もかなり身近に感じられる、プライベートが垣間見えるようなものですが、もともとこういった活動をやりたい!と梶原さんから言い出されたのでしょうか?

 

梶原岳人さん「自分からというよりは機会をいただいてやってみて、結果よかったという感じですね。あまり自分を見せようとは思っていませんでしたが、お話をいただいて。結局それも自分のアニメ出演とか声優の活動はあってこそのものではあったので、基本はそこに通じるものがあったと思います。ただ、YouTubeは考えすぎずに、むしろ自分を隠さないようにしようというか。あまり作らずにやろうかなとは思っています」

 

本日は会場の皆さんからの質問にもご回答いただきます。

 

高校生「最近声優さんがテレビなどのメディアに出演されることが多くなって、見た目を気にした方がいいみたいなことを聞いたんですが…」

 

梶原岳人さん「大事は大事だと思います。見た目がいい方が好きって言ってくれる人が多くなりやすい。極端な話ですけど、ちょっとみすぼらしいよりも小綺麗にしていて、この子見た目からいい子そうだなとか、話しやすそうだなとか、そういうところがにじみ出るような格好をしている方がオーディションの時とかも覚えてもらいやすいということもあるんじゃないかなと。清潔感は大切に、自分らしくいるのが一番大事かなと思いますね」

 

 

高校生「『Paradox Live』ではラップをやられていて、早口で肺活量も必要だと思うんですけど、どのように肺活量を鍛えていますか?」

 

梶原岳人さん「ラップは肺活量というより、滑舌をよくすることを意識していますね。さっきも話したように、僕は叫びの演技に課題を感じていて、自分が苦手だなと思うようになったところを変えるためにボイトレに通うなどしました。たとえば早口が苦手かなと思うのであれば、滑舌練習をしてみるとか、苦手分野に対して自分がどうしたらそれを克服できるのかと考えて、そのために行動するという風にやっています。肺活量に関して直接意識してあまりやったことなかったので、答えになっているかわからないですが。人によって合うものはちがうので、自分に合ったものを探すのがいいのかなと思います」

 

今滑舌の話がありましたが、梶原さんは大阪の枚方市出身ということで、もともとは関西弁に馴染みがあった幼少期だったかと思います。東京でお仕事をされる際に共通語の壁はあったのでしょうか。

 

梶原岳人さん「僕は正直あまりなくて。親が転勤族でいろいろな地域を転々としていたからかもしれないです。友達が養成所のときに先生に徹底的に直されたというのは聞きましたね」

 

 

高校生「自分の担当のキャラを演じる前に、原作はどのくらい読み込んでいますか?」

 

梶原岳人さん「全部読めるなら読んだ方がいいと思います。キャラクターを深く知る。知れば知るほど、多分自分の中に理解が深くなっていくと思うので、たくさん読んでそれで自分がやる、やりたいキャラクターとかを理解していくのは必要だと思います。時間があれば全部読んだ方がいい」

 

高校生「私は声優になりたいのですが、進路決定で親と揉めています。梶原さんは進路決定の際に親御さんと揉めたりということはありましたか?」

 

梶原岳人さん「ありましたね。でも僕はあんまり親に従ってこなかったタイプだったんですよね。というのは『自分がやりたくないことで生きてどうするのかな』と思っていた。人生一回きりしかないので、誰かに敷いてもらったレールを走ってもしょうがないなと思っていたし、今でもそう思っています。とにかくやりたいことに挑戦しないで人生終わりたくないなと思っていた。「ちゃんとした職に就かないで失敗したらどうするんだ」とか言われることもあったけど、でもやっぱりそれはもうその時に考えようって。それよりやりたいことをやらないで終わる方が後悔すると思ったから、今できることをやりたいと思っています。

 

僕も高校生のときにやっておけばよかったな、高校時代に戻ってやりたいなと思うことがたくさんあるので、始めたいなと思った今がはじめどきだと思います。思ったことを熱意だけを伝えても納得してくれないこともある。だからこそ実績として何かしらの結果を出せるように頑張る、ある程度期限・目標を決めてそれまで見ててほしいとか、そういう風になにかを始める、やりたいことに向かっていくというのはとても大事だと思いますね。テレビでアフレコみたいなことをやってみるとか、そういう姿を見せているだけでも本当にそんなにやりたいんだという一つの見せ方にはなってきますかね。保護者の方は心配して言ってくれていると思うけど、僕としては自分の目指すものに向かって頑張ってほしいなと思います」

 

最後に、声優やマンガ・アニメーション業界を進路・自分の将来の道として検討している皆さんにアドバイスやメッセージをいただいて、締めの言葉とさせていただきたいと思います。

 

梶原岳人さん「僕も高校生の時はすごく悩んでましたし、『自分がやりたくない道にも進もうとしているのかな?』とかいろいろ考えながら過ごしてきたわけですが、でもやっぱり今こうして自分のやりたいことで生活できてとても幸せだし、それをできている環境はとてもありがたいことだと思っています。自分がやりたいなと思ったことに進んで本当によかったなって思います。必ずうまくいくというのは絶対にないし、そうなるとも本当にわからない世界ではありますが、「夢を追いたいな」という気持ちはとても大事だし、やりたいことを追い続けながらこれからも生きていたいと思っています。皆さんの生き方にどうこう言えるわけではないです。けれども僕はそういう仕事をしてきてよかったなと思っています。皆さんはやりたいことを考えて今ここにいると思いますが、そのために何ができるかを考えて目標が設定できれば、自分の今やれること、やるべきことが見えてくると思うので、まずは自分のやりたい像をはっきりと確立させて、そこに何ができるかを考えてやるのがいいのかなって思います。

 

僕もまだまだ新しくやりたいこともたくさんあって、そこに向かってできることをやっていこうと思っています。一緒に頑張りましょう。ありがとうございます」

 

梶原岳人さん、本当にありがとうございました!

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