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声優 寺島拓篤さん TALK LIVE!!

2019/08/23

 

7/21(日)のアニカレ祭2019にて、「うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEレボリューションズ」一十木音也 役、「転生したらスライムだった件」三上悟 役、「アイドルマスターSideM」天ケ瀬冬馬 役など数々の作品でご活躍中の寺島拓篤さんが来校!来場者、在校生向けのトークショーが開催されました!第二回公演のトーク内容を掲載します。

 

 


 

司会:本日はアニカレにお越しいただき本当にありがとうございます。寺島さんには何度もお越しいただいており、ご縁があって本当に嬉しい限りです。オープンキャンパスにもお越しいただいていますが、アニカレ祭には、なんと今回で4回目のご登場となります。寺島さんがいないとアニカレ祭ができないと思っています(笑)。

寺島拓篤さん(以下 寺島):そんなこと言われたら、プレッシャーが半端じゃないですね(笑)。呼んでいただけるのは嬉しいです。

 

司会:東京校にもゲストDAYで何度かお越しいただいていますが、大阪校と東京校、それぞれ雰囲気や特色が違いますが印象の違いはありますか?

寺島:こうやってアニカレ祭等に呼んでいただいた際、大阪のみなさんはすごく賑やかでワイワイと楽しんで取り組んでいる、という印象があります。きっと授業もそうじゃないかな。イメージですけど、東京の方がクールって感じですよね。どっちも授業を見ていないから分からないですけど、その違いのイメージはあるかな。でも、東京のみなさんもすごく優しくて、呼んでいただいた時は、よくしてくださるので、本当にアニカレっていい学校だなと思います。

 

司会:校舎の雰囲気や設備はいかがですか?

寺島:僕は機材のプロではないですが…これだけのものが揃っていれば、ある程度のことは何でもできるんじゃないかな。ほとんどプロの現場と変わりないものを用意しているな、と感じますね。

 

司会:そういった現場の空気感を在校生の時から体感することも重要になってきますか?

寺島:そうですね。仕事として現場に出てから「これ何だろう?」という状況になってしまうと戸惑ってしまい、お芝居とかアフレコをすることに集中できなくなってしまいますから、大事だと思います。

 

 

司会:会場にいらっしゃるのは高校生・中学生のみなさんです。特に高校3年生は進路について色々と考えている時期かなと思います。寺島さんはどのような学生時代を過ごされましたか?

寺島:あまり覚えてないです (笑)。小・中・高の学校生活の記憶が全然なくて。漫画とか見ていても、学生時代の思い出ってすごく素敵だなって思います。学生のみなさんは、声優やアニメなどの絵を描く仕事に興味があって、ついつい先を望みがちになりますが、今ある生活を充実させることも忘れないでほしいです。お友達だったり勉強だったり部活など、それぞれ様々な環境があると思いますけど、どれも今しか体験できないし、皆さんにとっての1日1日は大人とは違いすごく濃いものです。だから楽しんで学生生活を送ってもらいたいですね。アニカレの学生なら、このアニカレ祭で何かをやるっていうのも、いい経験ですよね。このステージ上でやる楽しさを知ると、「もっともっと」って意欲がわいてきますよね。

 

司会:声優としてお仕事をされている中で、声の幅を広げるトレーニングについて教えてください。すごく低い声からや高い声をキープしてキャラクターを演じていかなければならない難しさが、キャラクターボイスではあると思いますが、何か気をつけているポイントやトレーニングされたことはありますか?

寺島:声の幅って広げたいものですか?というのがそもそもの疑問としてあります。本当だったら声は作らないで、その人が持っているそのままの声でお芝居できるのが一番です。そこを中心にしてテンション高いときは高い声、唸るときは低い声になるとか変化をつけるのが理想です。真ん中にある自分の声を一番大事にしたい気持ちはありますが、これだけ声優さんの人数が多いと、誰もやっていないところに突っ込んでいかなきゃいけないとか、自分と似た声の人がいた場合に、その人と同じ道は避けたいなという思いが僕の中にあります。自分の感覚ですけど、僕の声は他の声優さんと比べて特徴のある声ではないです。そういう人間がたくさんいる声優業界の中で生き抜いていくには、いろんなことができなきゃいけない。だから、色んな声を出したいというよりは、色んな声を出さないと生きていけないかもしれない、という危機感から、自分の身体と相談して声の幅を広げたという経緯ですね。

アニカレのカリキュラムに、発声とか基礎の部分などはありますか?

 

司会:あります。1年生の間は特にそういった基礎ばかりですね。本編の練習というよりは身体作り、体幹作り、共通語の勉強と併せて発声。フィジカルばかりです。

寺島:そうですよね。在校生のみんなはそれを乗り越えてきたわけです。そしてこれは一生勉強ですね。皆さんもゆっくり五十音順を言っていくと、自分の舌が自分の口の中のどこに当たって発音しているのか分かると思います。それを細かく突き詰めていくと滑舌練習になります。そういった内容の教本があると思いますが、ただそれを読んでいるだけでは意味がありません。何故それが言えないのか、言えるためには滑舌をどうしたらいいのかを考えないとダメです。

 

歯並びってみんな違いますよね。僕は歯並びが悪い方で、歯並びが悪いとサ行が綺麗に発音できないことが多いです。でも、僕が歯並びを直さないのは、自分の滑舌が変わっちゃうから。治すと言えるようになる言葉も出てきますが、言いづらくなる言葉も出てきてしまうからです。

 

また、体格や声帯によって声の響き方、声の色も違ってきます。自分の喉で鳴らした音が身体のどこで響いて、どこに当てるとどんな音が出るのか、という研究を日々行っています。アフレコ現場にはマイクが4本くらい立っていて、前に置いてあるモニターに向かってアフレコをやります。セリフがない人は後ろで待機していますが、ほとんどの人は台本や画面を見ています。だけど僕はセリフを言っている人の背中を見て、「この感じだと胸で響かせているだろう」、「もっと深いところまで響いているな」、「どこの方向に声を出しているのか」などを想像しています。目で見て分かるものではないのですが、見ることでそれを感じやすくなります。そして「こんなに声が響くんだ」、「自分じゃ同じことはできないな」と思ったら、家に帰って「どうやったらもっと響くようになるのだろう」と研究します。

 

高い声、低い声の話についてですが、太く広く喉を開けば、声も低く、太くなります。男の子だと喉仏を下げる動作をすると分かりやすいですね。逆に高い声を作るときは喉仏を上げると高い声になりやすいですが、それはすごく喉に負担がかかるのであんまりやらないほうがいいですね。女の子にも分かりやすい例で話をすると、つばを飲み込んだりすると喉仏のあるところが動きますよね。この喉仏を下げていくと太い声になっていきますが、これだと声がボヤボヤしてしまうので、喉の周りの筋肉で引き締めていくと、もう少し張りのあるしっかりした声になっていきます。そして、胸で響かせるのか、もっと低いところで響かせるのか。低い声を作ると滑舌が基本的に甘くなってしまうので、それをどうやって自分で制御するのか。高い声にするときはもっと細くして、もっと上から音を抜いてとか、そういう技術的なことというのは、自分で研究してやっていかないと、自分なりの武器が使えなくなります。そうやって自分の身体と相談しながらやっています。本当はそんなややこしいことをしないで、まっとうな発声でまっすぐ声を出せて、という人が一番です。僕がやっていることはすごく邪道…っていうと言い過ぎですけど、ちょっと変わったやり方だなと思います。

 

 

司会:正しい発声の方法を学んだ上で、自分の体格、骨格、身体に合わせて、今おっしゃっていただいている共鳴する部分というのは、ちゃんと自己認識をしたほうがいいですよね。

寺島:したほうがいいですね。自分の弱点もいいところも両方見つけないとだめです。持って生まれたものなので、無理に変えることはできません。自分が持っている声、どういう役やどういう作品に出たい、という自分の理想はあると思いますが、声優という仕事で生きていこうと思うのであれば、そこはしっかりと向き合っていかなきゃいけないですね。

 

司会:現場によっては「もうちょっと低い声で演技してください、(逆に)高くして演技してください」という指示も現場でありますよね?それをキープして演じていくことに関して寺島さんご自身が意識されていることはありますか?

寺島:音だけで表現するのが声優の仕事なので、音声表現の抑揚は気をつけていますね。例えば、口の中を開けると軟口蓋という場所があります。そこを広げると音が明るくなったり、ハキハキして聞こえたり、そういった技術的なことはもちろんありますが、根本は心の表現なので、自分が演じているものの目線になることを大事にしています。例えば、僕が演じているキャラが誰かと向かい合って会話をしている場面で、自分のキャラは会話をしている相手を見ているけれども、アフレコをしている僕はその光景を俯瞰で見ていますよね。でもそうではなくて、そのキャラの視界にはどういう景色が広がっているのかを想像することが大事です。当たり前ですが、自分の姿は見えないですよね。でもアフレコをしているときは、自分が演じているキャラが見える。それってすごくおかしなことですよね。そのキャラクターがどういう視点でものを見ているかということをリアルに想像することで表現の仕方が変わってきます。相手がどのくらいの距離にいて、その相手に聞かせたいからこれくらいの声でしゃべろうとか、聞かせなくてもいいから小さい声でしゃべろうとか。そういったことをより現実感を持って再現できるようになるために、そのキャラクターがどんな景色を見ているのかを想像しますね。

 

司会:そういった想像の引き出しを増やしていかなければいけないし、丁寧に考えないといけないという…お忙しい中でそのような時間はどうやって確保していらっしゃいますか?

寺島:想像力を育てる時間ですか?意識したことないですね…漫画を読んでいるくらいかな(笑)。伝えたいメッセージは何だろう?という、キャラクターや作品自体から読み解こうとする読解力ですよね。読解力ってとても必要で、書いてある文面だけで理解するのではなく、キャラクターが本当は何が言いたいのか、いわゆる行間を読むことは、日本人特有の「察する」ことを、自分本位ではなく演じるキャラクターや、画面の中に生きている人たちの気持ちになって察することが大事ですよね。自分本位にはならないようにするのが大事かな、と個人的には思います。

 

司会:新人のうちは、「自分で演技プランをしっかり考えるぞ」という意気込みからか、かたまりすぎた演技に囚われてしまうお話をよく聞きます。寺島さんご自身、現場で新人さんをご覧になって感じることはありますか?

寺島:最近は「上手な方」がすごく多いですよね。僕が見ていても「上手だな」と感じます。マネージャーさんから、「今日は新人の子が入っているので、よろしくお願いします。」と言われますが、別にアフレコをする分にはなんの問題もなくて僕が言うことは何もないですね。メインキャラクターでガッツリ心のお芝居をしていく段階になって初めて見えてくることのほうが多いので。今の若い人たちはその辺が上手だな、器用だなと思っています。だからよく言うのは、もっと下手でなきゃいけない。表面上だけで表現をすることはいくらでもできちゃいますし音だけ真似ればできてしまう。だけどそうじゃない。心の部分から出てくるもの、表面が凸凹したりざらついたり、自分がこうやろうと思っていたものを感情によってぶれていくのが逆におもしろいというか…それが命の表現です。だから皆さんには、アフレコの真似をするのではなくて、どういう感情なのかを感じる感性を身につけてほしいですね。

 

 

司会:寺島さんといえばやはり歌のお仕事も非常に活躍されています。ご自身の歌もあればキャラクターソングもありますよね。最近歌のお仕事で話題なのが『ウルトラマンタイガ』ですが、オープニング曲を寺島さんご自身が作詞されて歌も歌われて、ご出演もされていますよね。どんなことを考えながら作詞をされましたか?

寺島:タイアップ曲ではないときは、自分の好きなアニメやキャラクターのことをモチーフにして書いていて、実質1人タイアップみたいなことやっています。実際にタイアップをいただいときは、やはりその作品の何に重点を置くか、どこが一番おもしろいポイントなのか、どこがこの作品の一番の魅力なのかを、拾っていくようにしています。今回のタイガに関して言うと、タイガはウルトラマンタロウの息子である、というのが一番の目立つトピックじゃないですか。でも、タイガはそうじゃないと思っている。俺はタロウの息子じゃなくてタイガだ。自分自身を認めてほしい、そこに向かって成長したい思いが彼の中で一番強い感情なので、そこを第一に考えました。「タイガのための歌」というのを意識しましたね。

 

司会:ご自身の歌の場合、作詞はどのようにされることが多いですか?

寺島:漫画のキャラクターなどからインスピレーションを受けて「このキャラクターのテーマソングを勝手に作ろう」とか、「この作品の主題歌を勝手に作ろう」とか。先程も言った1人タイアップというやつですね。そういったことをずっとやってきたので、ひょっとしたらタイアップをいただいたほうが上手に書けるかな、という気はしていますね。

 

司会:キャラクターソングを歌う際にどのようなポイントを大事にされていますか?

寺島:僕の中でキャラクターソングには2種類あって、このキャラクターが歌っている歌と、そのキャラクターをイメージしたイメージソングです。昔によくあったのはイメージソングのほうですね。今はキャラクター自身が表現者として歌っているものも多いので、そちらに関して言えばそのキャラクターがどれくらい歌の修行を積んできた人なのか、どういう状況で曲ができて、それをキャラクターがどういう気持ちで歌っているのかを考えるという部分ですかね。キャラクターの声質による制限もありますけど、この歌をどういう風に表現しようと思っているのか、というところをすごく大事にしていますね。だからほぼ僕の歌ではないですね。僕自身が考えてはいますが、このキャラクターだったらどう歌うかな、どれくらいのレベルで歌えるのかな、などを考えています。このキャラは僕より歌が上手いはずだから、僕が普段できない表現を探さなきゃいけないな、とか。

 

司会:最近は声優を目指している人の中にも、アニソンや歌を歌いたいと思ってらっしゃる方も非常に多いそうです。

寺島:正直、何故僕がアニソンを歌うことができたのか分からないです。僕はアニメのキャラクターに声をあてたいから声優になったので、歌はどっちかというと避けたい人間でした。声優は、作品のパーツであればそれで完成なんですよね。分業でアニメーションを作っているので、色んな人が絵を描いて音をつけて効果をつけてそれをまとめて…そして音声を吹き込むのが声優の仕事。その人間が自分から前に出て歌を歌うって、不思議なことでした。それが今、自分で音楽活動をしているのは、ファンのみなさんにお返しがしたいから。僕からしたら、ファンの皆さんは作品を見てくれたらそれで十分なのに、その裏にいる寺島拓篤という人間を応援してくれる。だったらお返しがしたい、と思って歌をやっています。ファンの皆さんとの交流として歌を歌っています。

 

司会:初めての歌のお仕事はキャラクターソングでしたか?

寺島:当然そうですよ!自分から歌いたいと思って始めたことはないですね。でも、やっていくうちに表現のおもしろさとか…歌詞を書くことだったり、お客さんと一緒に会場で盛り上がったり…そういう空間の素晴らしさを実感しています。

 

司会:『うたの プリンスさまっ』一十木音也役、これはもう何年くらいになるんでしょうか?

寺島:9年ですね。もうすぐ10年が見えてきています。9年、10年というと僕の声優人生の半分以上になります。もちろん音也だけじゃなく、他にもいろんな歌を歌うキャラクターをやらせていただいていますが、一緒に成長するという意味では、音也が一番ですね。彼は技術がないところからアイドルになるために、早乙女学園というアイドルを育てる学校に入学しました。そこで成長していくにつれて、ただ歌が好きだけじゃなくて、誰のためにその音楽を作りたいのか、誰と歌うことで自分の力が発揮できるのかなどの発見がありましたね。それは僕の声優業界における仕事の成長とも重なる部分がありました。彼が新しいものを見つけたときに、僕自身も彼の経験を少し分けてもらっています。逆に、彼が見ていないところで僕が経験したものを彼に返すこともできる。パートナーじゃないですけど、経験を共有できていることがすごくありがたいです。彼自身が表現者としてもっともっと成長したいと思っているからこそ、その役の力で自分も成長できているということをすごく感じていますね。

 

 

司会:非常に大きな存在ですね。うたプリといえばアメリカで開催された『アニメエキスポ2019』で、『劇場版うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVEキングダム』のプレミア上映にご参加されましたよね。向こうのファンのみなさんは日本のお客さんと違うものがありましたか?

寺島:日本のアニメへのリスペクトがすごいです。僕らはチャンネルを回したら日本のアニメがやっているし、映画館に行けばアニメの映画がやっている。だけど向こうだと日本のアニメは限られているので、そこに携わっている監督やプロデューサー、役者などが行くと、ものすごく歓迎してくださいます。しかも日本のアニメを吹き替えじゃなくて日本の言葉のままで楽しんでくださっている方が多いので、日本語を理解しています。通訳を挟まずトークしていてもリアルタイムでリアクションをくださり、「日本語が分かるんだ」っていうのが分かってすごく嬉しかったです。僕ら日本人も、もっとグローバルに勉強しなきゃいけないなとすごく思わされましたね。

 

司会:それだけ日本のアニメーション文化が世界に通じるということですね。

寺島:そうですね。何でもそうですけど、その国特有の誇れるものがあると思います。日本はアニメがその一つですよね。いつの間にかそうなっていたという感じはしますけどね。みんなが最初から「世界に発信するぜ!」と思って、鉄人28号とかマジンガーZを作り始めたわけじゃなくて。おもしろいアニメを作りたい、と思ってやっていたらいつの間にか磨かれていったっていうことだと思うんです。歴史あるものって続けば続くほど自然と重たくなっていって、とても大事なものになっていく。だからといって、そこで形式張るのではなくて、当たり前のように面白いものを作りたい、ステキなものを作りたいという思いでクリエイターの皆さんはやっているので、それに携わる以上、外国の皆さんの反応を見ちゃった以上は、もっともっといい意味で責任を背負って、いい意味でもっと軽やかに仕事に向き合っていけたらいいな、と感じるいい機会になりました。

 

司会:やはり海外に行くと見聞は大きく広がりますよね。

寺島:自分の知らないものに触れるって怖いことですけど、一歩踏み出して触れてみると「こんな世界があったんだ」って、自分の領域が自然と広がるので表現の幅にもつながると思います。無理して行けとは言わないですけど、やっぱり海外とか自分の見たことない場所、日本国内でもいろいろあると思うので、見ておくとおもしろい経験になるかな、とは思いますね。

 

司会:最後に会場内にいらっしゃる声優やアニメーター、マンガ家、こういった業界を目指している在校生、中高生のみなさんにメッセージをお願いいたします。

寺島:まずはお集まりいただきありがとうございます。僕の話したことがためになったか正直分からないですが…。なんか難しそうなことを話していたな、声優って意外と難しい仕事だな、と思ってもらえるとありがたいです。というのも、この仕事は夢のある仕事だとは思います。

 

芸能界とかもそうですけど、自分の好きなことを仕事にするっていうのは、すごく華やかでキラキラしているような印象を持っていると思いますし、実際そうです。やっぱり夢ってそうあるべきだと僕は思うので。でも夢は叶った瞬間に現実になるので、その現実をどう生き抜いていくか。

 

シビアな話をすると、今から声優になりたいというのは、個人的にはお勧めはできません。今は人数もたくさんいて、いつ・誰が仕事をもらえて、いつ・誰の仕事がなくなるか分からないです。僕だって明日には仕事がなくなってしまうかもしれない。そういう不安をずっと抱えながら精一杯仕事をやらせてもらっていますし、ほとんどの声優さんがそうだと思います。仕事はそう簡単に変えられるものではないので、1回1回のお仕事に責任を持ってやらないといけない。そこで下手をすると仕事がなくなってしまう。これはリアルに収入につながっていくので、その辺りはシビアに「仕事」として捉えてもらって、自分が何をしなきゃいけないのか、夢が現実になったときにどう生きていくのか。その勉強するために、このアニカレに入学して色んなことを学ぶんですけど、ひょっとしたらその学んだ期間が全部無駄になっちゃうかもしれない、そういう覚悟を持ってこの仕事に臨んでほしいですね。

 

見ている人、聞いている人にたくさんの夢を届ける仕事ですけれど、そこに生きている我々は、色んな問題と闘いながらやっています。そんな人達が作り上げている作品だということを念頭において、アニメなどを見ていただけると、またちょっと違った考えで作品を見ることができると思います。どういう風に絵が描かれているのか、どういうタイミングで音楽がかかるのか、どういう風に役者さんがお芝居をしているのか…そういったひとつひとつを感じることが、みなさんが声優だったりイラストを描く人だったり、表現者になるための一つの近道なのかもしれません。なので、声優になるために、今、自分がファンとして楽しんで見ているものに真面目に向き合って見ていただけると、僕らにもっと近づいてもらえるんじゃないかなと思います。

 

本当に大変なものに皆さんは向かおうとしているので、これからの生活、今の自分の環境を楽しんで夢に向かって頑張ってください。今日はありがとうございました。

 

 


 

寺島拓篤さん、貴重なお話を本当にありがとうございました!!

 

なお、今回ご参加いただいた方の中から抽選で、各回5名様に寺島さんのサイン色紙が当たるプレゼント企画を実施させていただき、当選された方にはすでに郵送でお送りさせていただきました!

 

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